災害・オウム対策調査特別委員会

3月22日 災害・オウム対策調査特別委員会傍聴レポート①

平成29年3月22日に開かれた、足立区議会の災害・オウム対策調査特別委員会のレポート。この日もいつものように日本共産党の委員の発言からスタートした。が、それより先にお伝えしなければならないものから書こうと思う。

 

この日は新規に付託された陳情が2件あった。


受理番号29-4 学校・保育園給食の食材の安全を求める陳情

 

【陳情の趣旨】

 2011年3月の福島第一原発事故からまもなく6年を迎えようとしています。しかし、復帰への道のりはほど遠く、避難解除区域においても放射線量は高く、まだまだ子どもたちが戻れる状態ではありません。現在流通している食品や飲料水はもう安全と言われていますが、放射線量がゼロではありません。東京近県産の一部のしいたけ、竹の子、れんこんなどからは、未だにセシウム134や137が検出されています。子どもたちが、それらの食品を口にし、体内に蓄積されれば、内部被ばくの恐れは充分に考えられます。

 チェルノブイリの事故後、5年経過後から、子どもたちの甲状腺ガンが多発していると言われています。私たち親の願いは、子どもたちに放射能ゼロの安全・安心な食品を食べさせたいのです。給食に使われている食材の含有放射能がゼロになるまで、食材の検査をし、続けてくださるようお願いいたします。

 

【陳情項目】

1.小・中学校、保育園給食の食材の安全・安心を求めるため、放射能の検出がゼロになるまで、測定を実施し、継続して下さい。


受理番号29-5 区としての子どもたちへの放射能等に関する学習についての陳情

 

【陳情の趣旨】

 福島県内といくつかの県では、数値に関係なく「放射能」「福島から」という理由でいじめ、いやがらせ、差別が起きています。

 教える現場で「正しい情報」「見解が分かれている時は、双方」を提示して、社会的、経済的、科学的、医学的、精神的な点から総合的に考察され学習を実施してください。

 

【陳情の理由】

 2011年の福島・東京電力第一原発での原子炉事故から6年になろうとしています。未だに避難されている方が大変な思いをして生活しておられます。ましてや線量が事故前に戻っていないにも拘らず、政府は帰還を進めています。

 医学的・科学的には見解が分かれていますが、甲状腺がんが増加している現実があります。(因子・調査方法等分かれますが)9月末時点で68人が「悪性または疑い」と診断され、6月末比9人増。その内、手術によりがんと確認されたのは、同10人増の44人です。

 足立区内では、1万ヶ所以上の測定をしてもそれ以外の場所で、区民の測定によりホットスポットが確認されております。放射能による健康障害が確認されていないとのことですが、確認されてからでは手遅れになるやもしれません。

 豊洲新市場問題のように「安全・安心」が私たちの望みです。


この2本の他にも審査継続中の請願が1件、陳情が1件あり、一緒に審査された。

 

受理番号28-9 放射能健康診断への助成、区民参加での放射能測定、及び福島からの避難者への住宅支援継続を求める意見書の提出を求める請願

 

受理番号28-23 足立区内の保育・教育施設の放射線対策についての陳情

 

 

実は、他の委員会と少し様子が違う点がある。ちょうど1年前に開かれた委員会からである。陳情審査に入る前に必ず委員長がこう言うのだ。

「委員長より申し上げます。 本請願及び陳情の趣旨につきましては、これまで当委員会において質疑等重ねてきた部分も多くございますので、質疑内容につきましてはご配慮いただき、委員会運営にご配慮いただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。」

 

この日もこの言葉から陳情審査は始まった。新規の陳情があると、放射能汚染問題についてはほとんど発言をしない与党の委員も重い口を開くのである。この日もそうだった。そこでどんな発言があったか、それをみなさんにお伝えしたいのである。

 


発言者 公明党 小泉ひろし委員

 

(学校、保育園の給食の食材の検査について)

 

食材の安心・安全は本当に大切なことだと思うが、そもそも陳情では「放射能」という言葉を使っている。放射性物質は検査したときに「0(ゼロ)」になるということはあり得るのか?

 

 

保健予防課長(衛生部)

 

国連科学委員会(UNSCEAR)で、「人として食物などから0.29ミリシーベルト内部被曝する」と言われている。つまり、食物そのものに放射性物質が本来入っているのでゼロにすることは不可能と考えている。

 

小泉ひろし委員

少しでも安全にという意味でこのような極端な陳情の言葉になっているのかと思うが、行政としてもできることはやっているし、公表もしている。一方「風評被害」で、日本の生鮮食料品等の海外輸出も、国により受け止め方がかなり違う。つい最近では中国の対応が話題になった。極端に不安を煽ると、間違った情報が伝わると、本当に大変な状況になるのではと感じる。

 

(放射能等に関する学習について)

 

小泉ひろし委員

正しい情報という点ではその通りだと思う。足立区でも防災教育補助教材「3.11を忘れない」を使用している。陳情の、中学3学年での理科「地球と私たちの未来のために」を教材として利用しているということだが、東日本大震災では多くの住民が大変な思いをして、特に福島周辺では原発事故による影響が今日まである。

 

今月3月3日の参議院予算委員会で、公明党の若松、平木参議院議員が放射線教育の必要性などについて質疑している。福島県からの避難者の子どもに対しするいじめの問題で、十分な放射線教育が行われていないのが最大の原因、文科大臣に環境創造センターの視察を促した。福島県の教育委員会が作成した放射線に関する学習教材の全国的活用など、放射線教育の充実を図るように求めている。若松議員は、福島への修学旅行が震災前の5割ぐらいしか回復してないので、誘致を促進するために補助制度や活用を周知するべきと言っている。いじめのきっかけとなる「放射能!放射能!ホント危険だ!危険だ!」ということが先行しすぎると、誤った認識を持ってしまうと思う。一番苦しんでいる福島県。その教育委員会のまとめたテキストの活用は足立区も検討すればいいと思うがどうか。

 

教育指導課長(教育委員会)

委員から貴重な情報。ぜひそういう情報を活用しながら、正しい知識・正しい理解ということに努める。

 

小泉ひろし委員

少しでも「危険でない」「安全」ということは大切だが、その安全確保するために具体的に何をするのか、予算も含めて総合的考えていかなければと思う。


平成23年6月からこの委員会で様々な議論があったことは私もわかっている。私はこの委員会をただの一回も欠かさず傍聴してきた唯一の足立区民だから。この災害・オウム対策調査特別委員会の委員の皆さんには、これまで資料を持参したり、面談でお話を聞いてもらったりしてきた。足立区のおいしい給食課、衛生部、危機管理室、環境部、公園施設課などなど、様々な部署の方にお話を聞いたり、こちらの要望を伝えたりしてきた。

 

しかし、前述のように「本請願及び陳情の趣旨につきましては、これまで当委員会において質疑等重ねてきた部分も多くございますので、質疑内容につきましてはご配慮いただき、」と、この6年間で議論を尽くしてきたのだと言いながら、信じられないことに、与党議員も区役所の職員も「カリウム詐欺」にまんまと引っかかっているのだ。

 

なぜ、なぜ、なぜ、いまさらこんな質問が出て、こんなトンデモ答弁が返ってくるのか?

 

いろんな意味で情けなくて泣けてくるのだ。

 

しかし、このあとさらに恐ろしい事態が起きたのだ。

 

続きはまた明日。