災害・オウム対策調査特別委員会

3月22日 災害・オウム対策調査特別委員会傍聴レポート②

昨日に引き続き、平成29年3月22日に開かれた、足立区議会の災害・オウム対策調査特別委員会のレポート。

 

昨日の記事を読んでいない方、内容忘れちゃった方はおさらいを。

3月22日 災害・オウム対策調査特別委員会傍聴レポート①(公明党 小泉ひろし編)

 

給食の放射性物質検査を区に求める今回の陳情人の願意は小・中学校、保育園給食の食材の安全・安心を求めるため、放射能の検出がゼロになるまで、測定を実施し、継続して下さい。」という内容だ。

 

ちょっと話が逸れるが、実は足立区のホームページについ最近(この委員会が開催される前日)作成された放射線対策のコンテンツがある。

 

足立区ホームページ 足立区の放射線対策について

 

これは前回の委員会(H29.1.25)での議論からの流れで、「足立区はちゃんと放射線対策やってるんだからもっとアピールしたほうがいいよ!」という公明党の要望で新規に作成されたというが、そこに学校給食等の放射性物質検査についての記述はない。やってないことは書けないから仕方ない。

 

学校給食の検査に関しては、足立区の自慢「おいしい給食」のコンテンツ内にこそっと書いてある。

学校・保育園給食の放射性物質検査について

 

平成24年1月23日、足立区内の15の施設の給食について、牛乳も混ぜたミックス検査が行われた。そしてこのたった一度の検査で「安全は確保された」と、足立区の教育委員会は今もずっと言っているのである。

 

ではそろそろ問題の発言について書こう。

 

なんと!

 

自民党も「カリウム詐欺」の話に乗っかった!

 

その上、区民の請願権まで奪おうとした!

 

請願権とは、日本国憲法にしっかりと謳われている、この国に生きる人たちが持つ権利なのである。

 

憲法第16条

 

何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

 

そんなに難しいことは言ってないよね?

 

誰でも

何か損害を受けたときに

「助けて!」と自治体にお願いしたり

この人はちゃんとお仕事してないから辞めさせて!とか

こういうルールが必要じゃありませんか?

このルールはもう必要ないんじゃないですか?とか

暴力なんか使わずに穏やかな方法でお願いができる

できる権利が私にもある

みんなにもあるんだよ

お願いしたからって差別されたりしない

だから安心してねっていう内容だと思う

 

みんなが等しく持っている権利

その権利を自分だけ取り上げられたら

そりゃ、納得いかないよね

 

もうこれは放射能汚染問題が云々というだけの話ではない。とにかく、このやり取りを聞いて私は大ショックを受けたのだ。そしてこのようなことがみなさんの知らぬ間に起きていることを知ってほしいと思ったのだ。

 


発言者 自民党 ただ太郎委員

 

(食べ物の放射性物質はゼロになるのか?)

先ほどの答弁で、「放射性物質」は食べ物に微量でも含まれているとあった。受理番号4番の陳情は「放射能の検出がゼロになるまで測定を実施し、継続してください」ということだから、「ゼロになるまで」というのはありあえないという理解でよいのか?ではこういう陳情をなぜ受理(したのか?)

 

 

(ガハハハッ 市川おさと委員の大声で笑う声

  「なんで受理したんですか!?」と茶化すような市川おさと委員の自席発言)

 

※市川委員は自民党ではなく無会派の議員です。

 

足立区議会事務局長

申し上げることもないと思うが、憲法上、請願・陳情についてはすべての国民に認められている。区議会事務局でその内容をどうのということは、陳情人に修正等は求められない状況。

 

(答弁中、終始笑い声)

 

ただ太郎委員

「ゼロになるだろう」というお考えの皆様の陳情だと思う。放射能というものはゼロになりませんよと。小中学生に教材で教えているのなら、逆にそういう資料をお渡しするとか。この「ゼロ」ということに関して、事務局も担当部署と少しすり合わせをして、今後は修正するとかできるのではないか?こういう議論はずっと今までの委員会でもやってきた。(陳情審査の)結果が出て、またそのあと同じような陳情が出てきている状況。その点どんな見解をお持ちか?

 

足立区議会事務局長

先ほども申し上げた通り、この陳情だけではなく、陳情を出される方の趣旨というものは確認しているが、内容の修正をということは事務局では申し上げられない。また執行機関でも、その内容に沿った形での説明書を作成して、議会での議論に供している。それをご理解願いたい。


まだ正式な議事録が公開されていないので、これはあくまでも私の傍聴メモからの要約である。でも、もし実際にただ委員が発言をしている時の委員会室の様子を見て聞いていただけたなら、どれだけ私が憤ったかをわかってもらえるのではないかと思う。

 

委員会室を出てからは、もはや怒りを通り越して、悔しくて、悲しくてたまらくなった。区議会の中の某所で、1時間近く泣いていた。この放射能汚染の問題については、私なりに一所懸命に取り組んできた。どうやったら一歩でも前に進むのか?子どもたちを守り、お母さんたちの安心につなげることができるのか?必死に情報を集め、陳情を書き、仲間と署名を集めたりもした。議員のみなさん、足立区役所の職員のみなさんに頭を下げてお願いしてきた。礼儀正しく、ルールに則ってやってきたつもりだ。それがなぜ、「請願権」という基本的な権利まで否定されなければならないのか。

 

ぜひこれまで足立区議会に提出された放射能汚染対策関連の陳情と、その審査状況をごらんいただきたい。

過去6年間に足立区議会に提出された放射能汚染対策関連の請願・陳情 (2017-04-10差替え)

 

足立区では平成27年の5月に区長選・区議選が行われた。これが大きな境になった。まず、事故直後から提出され、生殺し状態だった陳情9本が「審議未了」となった。事実上の不採択宣言だった。

 

そして、選挙が終わって新しい期がスタートするときに、災害・オウム対策調査特別委員会に所属する某議員さんから、「同じ趣旨の請願・陳情は受理しない」ことになったと聞かされた。あろうことか、区議会与党は区民の目の届かないところで、区民の請願権を踏みにじっていたのである。

実際に、今年の2月にある団体が提出した放射能汚染関連の陳情が4本受理してもらえなかったという話を聞いた。陳情者からすれば、このような審査の経緯があり、その内容に不服があるから再度同じ内容で陳情したという思いなのだ。確かに、一言一句違わない陳情文であればそれは不受理にされても仕方ないと言えるかもしれない。しかし、あまりにも非情であると思う。陳情するにあたって一生懸命に集めた署名も無駄になってしまう。なんとかならなかったのだろうか。

 

子どもの健康を守ってほしいというだけの思いが、なぜこんなにも政治の場に届かないのだろう。


 

ついでに、直近で調べた東京都の各市区町村の給食の検査状況はこちら。某イベント用に急いで作ったので、不正確な部分があればぜひご指摘いただきたい。

 

ただ言いたいことは、自治体によって差がありすぎるということ。国がこの問題を自治体に丸投げした結果、首長の判断一つでこうなってしまうといういい実例だ。

 

北海道から沖縄まで、給食の放射性物質検査だけでなく、様々な安全・安心対策が取られているというのに、役所も議会も誰の都合に合わせて、誰のための政治をやっているのかと腹立たしく思う。


さて、ただ太郎議員の質疑内容を紹介し、私は激おこだよとここまで書いたのだが、ただ太郎議員も前はこんな感じではなかったのだということも念のためにお伝えしておきたい。少々長いけれど、足立区議会の議事録から、平成25年1月25日の災害・オウム対策調査特別委員会でのやり取りを紹介しておく。


ただ太郎委員

24受理番号19の給食のことについてなんですけれども、私も以前からこの件、ずっと本会議でも委員会でも言っているのですけれども、まず、以前、足立区で給食検査をしたときに、基本的なことなのですが、どの程度を検査されて、費用はどのぐらいかかったのか教えていただけませんか。

 

学務課長

検査につきましては、保育園、小学校、中学校それぞれピックアップしまして、たしか15カ所やったと記憶しております。また、費用につきましては、ちょっと今手元に資料がないので、後ほど確認してお答えしたいと思います。

 

保育課長

3園につきましての費用でございますが、17万4,384円でございます。

 

ただ太郎委員

すみません、何の費用ですか、ちょっと聞き取れなかったのですが。

 

保育課長

検査のための費用でございます。 保育園5園、それから、今お話がありました小・中学校と合わせて15園の給食の検査のための費用でございます。

 

ただ太郎委員

確認なのですが、保育園だけじゃなくて、全部ひっくるめて15カ所で17万円ということでしょうか。

 

保育課長

委託契約として、放射性物質測定調査を給食として委託した費用が全部でその金額でございます。

 

ただ太郎委員

17万円ということなんですけれども、以前から主張していますとおり、陳情もこうして出ていますし、また、保護者の方から、子どもたちを守ろうということで2,000名からの署名と一緒にこういった陳情が出ている状況を見ていますと本当にまだまだ……外部被ばくに関しましては足立区の区有施設、本当に細かくはかってきたということは大きな評価をしているのですけれども、今後大事になっていくのは、子どもたちの内部被ばくをどうやって防いでいくかということが非常に大切になってくると思います。

先ほどもお話がありましたが、放射線測定器の貸出しとかに関しましては、区民が持っていないから区で貸してもらえないかということだと思うのですけれども、測定器に関して、簡易な測定器であれば自ら購入されてはかっているという方も多くいらっしゃると認識をしていますが、この学校給食の検査というのは個人でできるものではないと、なかなか難しいと思います。なので、同じ放射性物質対策の中でも個人でできる対策ではなくて、学校給食に関しては役所なり、足立区全体で取り組んでいかないと絶対にできないものだと考えています。

それで、本当に以前から言っているのですけれども、こうして給食の検査をして欲しいだとかという話は、本当に私のところにも多く来ているのですけれども、今お聞きした費用に関しましても、地域を決めて15カ所で17万円ということで、そこまで大きなコストがかかるようなことではないと自分は思いました。

そしてまた、これも何度も言っていることなんですけれども、おいしい給食というのは、ただ食べて味がおいしいというだけじゃ、本当においしい給食じゃないと思います。本も出して、非常に足立区の給食はおいしいということで、いろいろなところでも聞いているのですけれども、それこそこの費用で、そしてまたこんなに多くの方々からの声があるのであれば、やらない理由はないと思います。

区としては、流通しているものは安全だし、以前この15カ所をやったから、何か動きがあるまではやらないというスタンスをずっととられておりますが、やっぱりまだまだそういった不安を払拭されていないということに関しましては、定期的にでも、年に何回でも、少し区民の方々のそういった思いというか、不安を取り除く対策をしていくということが、それは役所の仕事だと思います。

この給食に関しては、役所がやらないとできませんので、是非もう一度考え直して、定期的でもいいので、是非実施していくということでひとつ考えてはいただけないでしょうか。

 

学務課長

これまでもお答えしておりますように、検査につきましては、その時期と何のためにやるのかという、そこら辺のところが非常に重要かと思います。

私ども昨年いち早くやったというのは、まだまだ市場に出回っているものに不安があるということでやったわけでございます。

繰り返し、これまでもお話していますように、今、市場に出回っているものにつきましては安全な状況でございますので、状況に変化がない限りは、この検査をやらないという考えについて変える予定はございません。

 

ただ太郎委員

区民の皆さんからの要望があるにも関わらず、以前やったからやらないというような考え、それは、私は違うと思います。何か起こってから、じゃあ検査をしましょう、それじゃ手遅れの何ものでもありませんし、何か出る前にといいますか、定期的にはかっていくことが安心につながっていくと思うことが一つと、やはり区民の方々がこうして欲しいという声に対して、しっかりと役所としては、以前やったからとかということではなくて、もう一度、区民の皆さんの声をしっかりと受け止めて手を打っていくということが役所の仕事だと思いますので、今後も私はこの件、調査研究を進めて、また主張をしていきたいと思います。


私の記憶が確かなら、当時「足立区は学校数も多く、お金もないから給食の検査はできません」という論調だった足立区に対し、「では実際に15施設の給食を検査した時の費用はいくらだったの?」と質問してほしいと、私がただ委員に事前の面談でお願いしたのだ。

 

私は一人でも多くの人がこの問題に気付いて、子どもを守る立場に立ってくれたらいい。だから少しでも議会で取り上げてほしい。風化したり、なかったことになったりしないように、そういう思いで陳情活動を続けてきた。

 

ただ太郎議員は足立区の東部地域が地元だ。まさに原発事故後にはホットスポットが散見された地域の議員さんなのである。私の話も熱心に聞いてくれていたと思っていたのに...。

 

昔の、みんなの党だった頃のたださんの区議会だよりの記事を最後に紹介して終わります。


政治っていろんな意味で本当に怖いですね。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。