平成23年6月23日 足立区議会第2回定例会(本会議2日目)

■日本共産党 針谷みきお議員

「プールの放射線測定・放射線量が高い地域での核種別測定及び親水路、池、土壌の測定・ヨウ素剤の備蓄」について

 

 放射能汚染は、地元福島県から静岡県まで広範囲に広がり、土壌、水道水、牧草、農産物、水産物などに被害を及ぼしていますが、海洋汚染がどの程度なのか、どこまで拡大するのかも定かではありません。

 とりわけ懸念されるのは、子どもへの健康被害です。放射能被害には、急性障がいと、ある期間経過をして症状があらわれる晩発性障がいがあります。たとえ低線量でも、将来、発がんなどの晩発性障がいが起こる危険があります。放射線被ばくは、将来にわたって人間の命と健康を脅かし続けるものです。

(中略)

 子どもが小学校に通っているが、プールの放射能が心配、学校給食の食材が心配、校庭で砂場遊びなどが心配など、区民から放射能汚染についての多数の不安の声が寄せられています。

 我が党区議団も、6月7日区長に緊急申入れを行い、全ての学校、幼稚園、保育園、公園の放射線量を測定するとともに、区民に公開し、高い数値が検出された場合には、必要な土壌の放射線量を測定し、表土の除去など対策を講じることなどを求めました。

 区議会にも、区内施設の放射線量の測定と対策を求める陳情が4件も提出されました。 区民からも、議員や区に放射線量の測定を求める電話やメールが殺到しました。

 我が党都議団が行った都内128カ所の放射線測定が注目され、週刊誌やテレビなどでも紹介され、東部地域の数値がより高い傾向にあることや、足立区の放射線量が0.257マイクロシーベルト/時は、杉並区の3.9倍だったことが明らかになりました。

 私も、独自に調査チームをつくり、北足立地域の学校、保育園、幼稚園、舎人公園など42カ所の放射線量を測定しましたが、0.2マイクロシーベルト/時を超えた放射線量を記録した場所は、舎人公園をはじめ、42カ所中18カ所、43%となっています。

 こうした動きが広がる中、区は、今月14日になって、区内752カ所の学校、保育園、公園等の放射線量の測定を実施すると発表しましたが、安心のためには、更にきめ細かな測定とデータの周知徹底が求められており、以下質問します。

 

第1に、学校のプールです。

 区は、委託業者に放射能が付着していると思われる汚れを洗い流し、今は安全基準を確保している金町浄水場の水道水を使えば安全性は確保されていると言います。しかし、昨年から半年以上雨ざらしとなり、トンボのヤゴも生息しており、放射能が滞留している可能性があるため、区は、これまで行っていた子どもたちがプールに入りヤゴに直接触れることをやめるよう要請したこともあり、保護者にとっては不安をぬぐい切れません。データが公表されることが大事です。これによって安全性が担保できます。したがって、プールに付着している可能性が高い汚れをとった上で放射線量を測定し、安全を確認した後プール授業を行うようにすること。

 

 第2に、放射能汚染物質の核種は、ヨウ素131、半減期8日、セシウム137、半減期30年など、一部しか発表されていませんが、更に核種によっては半減期が大きく違うため対応が異なります。放射線量の高い値が確認された地域では、核種別測定にも取り組むとともに、子どもたちがよく遊ぶ親水水路、池、土壌も測定すること。

 第3に、原発からの放射能汚染の危険性が残されているもとで、万が一に備えて安定ヨウ素剤の備蓄をすること。以上、答弁を求めます。

 

川口弘危機管理室長の答弁

プールの放射線測定についてお答えいたします。

 区で管理する屋外プールにつきましては、安全性の確認された金町浄水場の水に入替えております。また、東京都で行っているちりや雨などの降下物の放射線量測定でも、大気中の放射線物質は不検出であることから、降雨による汚染のおそれはなく、区といたしましては、プールの使用は問題ないと考えております。

 しかしながら、様々な情報が流れている中で、特にお子様を持つ区民の皆様より、プールの水質検査の実施について多数の要望をお受けしていることから、安全情報を提供するために、今後、毎日水換えするプールを除く全ての屋外プールの水質検査を行ってまいります。

 次に、放射線量が高い地域での核種別測定及び親水路、池、土壌の測定につきましては、今後検討してまいります。

 また、現状で安定ヨウ素剤を服用するケースは考えにくいこと、安定ヨウ素剤の供給量に限りのあることから、各自治体の緊急度、必要性に合わせて計画的に行う必要があると考えております。

 

 

■民主党 鈴木あきら議員

「空間放射線の測定点・プールや砂場の放射線測定及び水質検査・お弁当の持参」について

 

今定例会は、大震災、原発事故直後ということもあり、災害対策や放射能に対する質問が続いています。私の質問も一部重なりますが、改めてお答えくださるようお願いして質問に入ります。

(中略)

次に、放射線などの対応について伺います。

 区は、放射線の測定を原発事故以前から先月まで本庁舎南側中央公園1カ所で行ってきましたが、6月からは5カ所で行うようになり、20日以降は保育園、学校など752カ所を順次行うことにいたしました。更に、昨日は、区がずっと必要がないと言ってきたプールや砂場など700カ所の検査を行うと発表しました。

 私だけでなく、区民の声などでも測定場所の増加や保育園、学校、プール、公園の砂場での測定の要望がかなりあったにも関わらず、今まで行ってこなかった理由は、何にあったのでしょうか。

 また、当初、区の方針として測定をしないとしていたことからの転換した理由は何か、伺います。

752カ所の測定は、区職員による地表面と地表面から高さ50㎝と1mの空間線量測定、また、砂場やプールの水などは専門業者に依頼するとのことですが、砂場や遊具、児童が育てている花壇のそばなど、測定方法を十分吟味した上で測定すべきと思いますが、見解を伺います。

 数値によっては、区独自で立入禁止や使用禁止、表土除去などの判断も必要になると思いますが、いかがでしょうか。

 また、その判断の基準と数値は、国際放射線防護委員会が勧告している放射線管理基準でもある年間1ミリシーベルトと考えてよいのかお答えください。

 

 清掃工場から出た焼却灰の放射性物質の測定は、現在行っているのでしょうか。その数値などの公表は、また搬出は可能の範囲内なのかお答えください。

 同様に、区内の下水処理場の汚泥についてはいかがでしょうか。

 八王子の処理場など、汚泥焼却灰を搬出できずに現在も保管しているところもあると言われています。都からの測定公表もまだのようであれば、区として強く申入れるなり、区として測定すべきと思いますが、いかがでしょうか。

 また、汚泥、焼却灰の搬出は、区として問題ないことを確認しているのかお答えください。

 

[都立中川公園の目的外使用(占拠)に関連して]下水管の取替え時に発生する土とガラが持込まれているとの説明ですが、放射性物質の持込みがないかなど、調査はしっかりと行っているのでしょうか。していないとすれば、強く調査を求めるなり、区として調査をすべきですが、見解を求めます。

 

 保育園や学校などの給食不安を感じて、お弁当の持参を希望する保護者もいらっしゃいますが、一方、現場としては、家庭でつくられたお弁当の中身や調理時間の経過などまでわかりませんし、保管場所などにも十分気を使い、食中毒の危険を取り除かなくてはなりません。区としては、一定期間のお弁当や飲料水の持参を柔軟に認める考えがあるのかどうか伺います。

 

川口弘危機管理室長の答弁

次に、放射線などの対応についてお答えいたします。

 空間放射線の測定点につきましては、区内5カ所で連日測定することで、区全体の値の変化を把握できることを重視して決めたものです。

 しかしながら、様々な情報が流れている中で、特にお子様を持つ区民の皆様の多くの声に鑑みて、安全情報を提供するため、身近な場所での測定を実施することといたしました。

 屋外プールにつきましては、安全性が確認された金町浄水場の水に入替えております。また、東京都で行っている、ちりや雨などの降下物の放射能測定調査におきましても、大気中の放射性物質は不検出であることから、降雨による汚染のおそれはありません。

 区といたしましては、保育園や学校のプール、公園の砂場等の使用は問題ないと考えております。

 しかしながら、空間放射線量の測定と同様に、安全情報を提供するため、今後は、毎日水換えするプールを除く、全ての屋外プールの水及び砂場の砂の放射線検査を行ってまいります。

 放射線の測定方法につきましては、空間線量測定や水質検査など、それぞれ適切な方法で行ってまいります。

 また、その他の花壇のそばなどの測定につきましては、今回の測定を踏まえて、今後検討してまいります。

 また、万一、測定しました放射線量が指標値を継続的に上回る場合には、表層土の飛散防止や交換などの必要な対処を行ってまいります。

 その判断につきましては、継続的に指標値を上回り、年間1ミリシーベルトを超える線量が推定される場合を考えてございます。

 

大高秀明環境部長の答弁

 私からは、まず、清掃車両、ごみ置場の確保や他地域からの応援などに関するお尋ねについてお答えいたします。

 ごみ処理、清掃車等の資機材、他自治体からの清掃車の応援受入れなどにつきましては、今回の被災地派遣の経験を踏まえて、今後予定してございます地域防災計画の見直しに具体的対策として盛り込んでまいります。

 また、がれき処理に関しましては、破砕処理や最終処分などについて、今後、東京都と調整を行ってまいります。

 次に、清掃工場から出た焼却灰の放射性物質の測定についてお答えいたします。

 清掃一部事務組合によれば、現在、清掃工場から出る焼却灰及び溶融灰の放射線量を測定する準備を進めているとのことですので、当面はその動きを注視してまいります。

 

岡野賢二都市建設部長の答弁

次に、下水道施設で発生する汚泥についてお答えいたします。

 区内には、発生した汚泥を処理している施設としましては、みやぎ水再生センターがございます。

 現在、東京都下水道局では、汚泥を処理している都内全施設において、2週間に1回、汚泥の放射能濃度を測定し、測定値をホームページで公表しておりますが、国の基準を上回るような値は出ていないという見解を示しております。

 また、23区内の汚泥焼却灰につきましては、全て大田区内の施設に集め、一定の処理の後、東京湾に埋立てております。

 

 「土づくりの里」に持込まれる土の放射性物質調査についてお答えいたします。

 持込まれる発生土につきましては、道路の掘削土であるため、土壌汚染対策法に基づく調査を行っておりますが、放射能物質の調査は、想定外のため実施していないとのことです。

 区としましては、区民の健康を考慮し、放射性物質調査を早急に実施するよう東京都へ強く申入れたところでございます。

 

鈴木一夫学校教育部長の答弁

 私からは、まず、お弁当等の持参についてお答えいたします。

 保育園においては、既に、お弁当、水筒の持参について、園長と相談の上持参を認めております。また、学校におきましては、学校給食法に定める給食を活用した食育指導の観点や衛生管理上の課題があり、お弁当の持参については難しいと考えております。

 なお、飲料水の持参につきましては、各学校判断で対応しているところでございます。

 

 

■みんなの党 ただ太郎議員

「放射線の対策・プールの授業」について

 

 次に、放射線に関して質問いたします。

 東日本大震災により、福島原子力発電所の事故が起こりました。政府が、国際的な基準に基づく事故の評価を、旧ソ連で起きたチェルノブイリ原発事故と同じレベル7と示したことにより、特に小さなお子さんを持つ保護者の方々は、放射線がもたらす健康影響に対して非常に敏感になっている現実があります。

 足立区では、毎日の放射線量測定を他自治体に先駆けて行ってきたことや、保護者の皆様の要望に応えるべく区内保育園、幼稚園、小・中学校、児童館など752カ所の放射線量を測定することを決めた事実は、全国的に見ましてもスピード感のある自治体であると大変評価をしております。

 しかし、放射線量が判明しても、当の保護者の皆様が、放射線に対し、ある程度の正しい知識がなければ、この計画の意味は半減してしまいます。

 例えばどれぐらいの量の放射線を浴びると人体にどんな影響を与えるのか、そして足立区内の放射線量は他地域と比べてどのような状況にあるのか等の情報を、保護者をはじめ区民の方々にお知らせをして、確認していただく機会をつくることが必要であると考えます。

 区のホームページにはこのようなことを説明するページが存在しておりますが、パソコンを使わない方には、情報が届きにくい現実があります。

 そこで伺います。

 測定値だけでなく、放射線に関する基礎的な情報を、区内全戸配布しているあだち広報に掲載するべきではないでしょうか、見解を伺います。

 また、放射能、放射線に関して、区民の皆様への説明会等は一切行われていないと聞いております。今こそ区民の皆様の不安や疑問に対応すべく、専門家や有識者を招いての説明会を積極的に展開していくことを提案いたしますが、見解をお聞かせください。 

 

学校での放射線量の測定に関しては、少なからず放射線が検出されると思われます。この夏のプール授業に当たり、保護者の観点から、子どもを屋外プールに入れない事態が予想されますが、その場合、児童のプール授業成績評価はどうなるのでしょうか、お聞かせください。

 

川口弘危機管理室長の答弁

 次に、放射線の対策についてお答えします。

 あだち広報6月25日号において、放射線の測定値をご報告し、それ以降、測定結果とともに関係情報を随時掲載してまいります。

 国民への説明につきましては、第一義的には国や当事者である東京電力が、明確な根拠に基づく説明責任を果たすべきと考えます。区としては、そうした機会が早急に設けられるよう努力いたします。

 

泉崎直之教育指導室長の答弁

 プール授業に関連して、体育における評価の方法についてお答えをいたします。

 評価については、単元ごとに「知識・理解」、「技能」、「思考・判断・表現」、「関心・意欲・ 態度」の四つの観点を総括して評定しております。そのため、プールの授業に参加できない場合には、これまでも、他の課題を与えるなどして評価材料を集め、指導計画に基づく学習成果として評価をしております。

 したがって、保護者の申請に基づく理由による水泳指導の見学で評価が下がることはございません。

 

 

■自由民主党 新井英生議員の質疑より抜粋

 

次に、放射能対策について質問通告しておりますが、既に我が党の代表質問で前向きなお答えをいただいておりますので、割愛させていただきます。